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MA-1の本物とは

MA-1の本物とは

かつて一世を風靡したMA-1が、今また新鮮な感覚のミリタリーアイテムとして見直されています。以前のブームは全く記憶にないという人も、本物がそもそもどんなジャケットであるかは知っておくべきでしょう。今回は、まず、MA-1の歴史について解説します。

本物のMA-1の歴史

MA-1が初めて米国空軍および海軍に支給されたのは、1949年から1950年にかけてのことです。それより以前、第二次世界大戦終了後の1947年に、陸軍航空隊が独立してアメリカ空軍となり、軍用機はプロペラ機からジェット機の時代へと移行していきました。かつて革製や布製が多かったフライトジャケットが、ナイロン製に変わっていったのもこの時期です。

その理由は、急激な需要拡大によって革不足が深刻化したこと、当時、衣料に使われ始めたナイロンが、革はもとより布よりも軽く丈夫な性質を持っていたことなどが関係していました。しかしもっと大きな理由は、ジェット機になったことで低温の中で高度上空を飛ぶ機会が急激に増え、その環境下で衣服が汗や呼吸で湿ると水分が氷結し、ジャケットとしての機動性が失われることにありました。

MA-1の原型は、もともとコットン素材だったフライトジャケットB-15で、まずこれがナイロン製に改良されました。続いて、ついにB-15のムートンの襟をシンプルなニットに変えた、ナイロン製フライトジャケットMA-1が登場します。すると、動きやすいデザインと-10〜+10℃の気温に対応した機能性が評価され、MA-1は多くのパイロットに愛されていきます。

その後、実に30年にわたり、MA-1は細部に改良を重ねながらパイロットやフライトクルーに使用されました。現在ではMA-1はフライト用ではなく、公安警察、基地の整備要員、通信網の修理要員などの、地上クルーに支給されています。

MA-1のデザインとディテール

オリジナルデザインのMA-1の襟は、先行モデルであるB-15のムートンファーを取り払い、リブ仕様のニット襟に変更されています。これは元の襟が、パイロットのヘルメットおよびパラシュート装備と干渉したためです。また、袖口とウェストもリブ仕様になっています。これらのリブはもともとウールでしたが、耐久性を考えて後にアクリル入りに改良されました。

フロントには、ボタン付きの斜めになったメインポケットが2つ付いています。1950〜1960年代のメインポケットはボタンのみが付いており、1970年代移行のメインポケットにはフラップが付いています。左の二の腕には、ジッパー付きのシガレットポケットが備え付けられ、ペンを収納するためのケースも4つ付いています。

フロントはジッパーで開き、すぐ内側に幅広の前立てがしつらえてあります。1950年代の初期モデルには、ジッパーの近くに酸素マスク用のタブが付けられていました。

高品質で破れにくいナイロンを使用したアウターシェル(表地)とライニング(裏地)の間には中綿として、初期にはウール素材が、やがてポリエステル系繊維が入れられるようになりました。色はアウターシェルがセージグリーンと呼ばれるくすんだ緑で、1960年代、1970年代の中期モデルでは、ライニングはオレンジ色が採用されています。これは、パイロットが緊急脱出した際に発見しやすいカラーにしたもので、中期モデルはリバーシブルで着られるように、ファスナーもダブルジッパーになっていました。

MA-1の着丈は短めで、後ろ身頃の丈が前身頃より短くなっています。また、本来、腕部分や全体のシルエットは太めに作られているのも特徴です。

MA-1以外のフライトジャケット

MA-1に似たナイロン製フライトジャケットは、ほかにもさまざまなモデルが存在します。

MA-1の原型となった襟ボアが特徴的なB-15にも、多くのファンが存在します。フードの付いたN-2B、丈の長いN-3Bも、定番モデルして知られています。また、エアフォース・ブルーが用いられているL-2Aや、朝鮮戦争後に色をセージグリーンに変えて誕生したL-2Bも、MA-1に似たスタイルのジャケットです。

さらに、MA-1のディテールやテイストを取り入れて作られた、さまざまなブランドオリジナルのジャケットもあります。現在では、一般向けにリリースされているMA-1自体もタイトなシルエットなど、ディテールにアレンジが施されています。新しいアメカジのトレンドやミリタリーの流行もあり、最近ではメンズのみならずレディースでも、MA-1は人気のアイテムです。

その歴史を知ることで、MA-1の持つ魅力もより深く知ることができるでしょう。