フライトジャケットとは航空機に搭乗するパイロットが着用するために製造されたジャケットです。航空機の性能の向上に合わせて、フライトジャケットも改良を繰り返し、防風性や防寒性など、非常に高い機能を持っています。
その実用性やデザイン性から根強い人気のフライトジャケット。日本で一大ブームを巻き起こした「MA-1」が有名ですが、他にもたくさんの種類があります。
人気の高いものを中心に、フライトジャケットの歴史や種類、特徴をご紹介します。
フライトジャケットの歴史
フライトジャケットが誕生するきっかけとなったのは、第1次世界大戦中、飛行機が兵器として登場し、パイロットが着用するウェアの需要が高くなったからです。
飛行技術や飛行機そのもののスペックが進化するにつれて、飛行速度や高度が上昇。そのために寒さから身体を守るウェアが必要となり、フライトジャケットの本格的な開発が始まったのです。
防寒が大きな目的だったことから、最初に開発されたのは羊皮を使用した冬季用のものでした。
第2次世界大戦が勃発して徐々に戦線が拡大すると、フライトジャケットの需要が急増して皮不足が深刻化。そのために、布製のフライトジャケットが開発されました。
その後は、ナイロンや新素材を使用したものへと変化していきます。
年代によって異なる素材やシルエットがあり、現在でも愛好家たちを魅了しています。
数字やアルファベットで構成されたモデル名
フライトジャケットは、アルファベットの形式記号と数字を組み合わせたモデル名が付けられています。
アルファベットは、「どの軍がそのウェアを認可したのか」ということを表しています。例えば「A」、「B」はアメリカ陸軍航空隊、「L」、「N」はアメリカ空軍が認可したものというように一目でわかるようになっています。
また、モデルが改良を行うごとに数字が増えていくので、最初のモデルは「1」になります。
フライトジャケットの種類
長い歴史を持つフライトジャケットには、膨大な種類があると言われています。その中から、日本で人気の高い2つのモデルをご紹介しましょう。
<MA-1>
80年代の終わりから90年代にかけて、日本で一大ブームを巻き起こした「MA-1」。
1950年代初頭に「B-15」フライトジャケットの後継として、アメリカ空軍により開発されました。
飛行中にジャケットに付着した水分が氷結することを防ぐために、ボディにはナイロンが使用されています。襟、袖、裾はリブニットが使用され、ジャケットの外部はくすんだ緑色、内部は発色のいいオレンジ色になっています(開発時期により異なる色もあり)。
視認性が高いオレンジ色は救難色とされており、万が一、遭難した場合は、MA-1を裏返しに着て救助を待ちます。
アメリカ海軍や陸軍にも採用され、その完成度の高さから、20年以上に渡り使用されてきた定番のフライトジャケットです。
<N3-B>
極寒地用として開発された「N3-B」。腰が隠れる長い丈とファーの付いたフード、中綿には化学繊維を使用した強力な保温力が特徴です。
吹雪の中でも前方が見やすいように工夫されたフード、手袋をはめたままでも取り扱いやすいボタンやポケットなど、機能性も抜群です。アラスカンジャケットと呼ばれていることからもわかるように、至高の防寒服だと言えます。
現在流通しているフライトジャケットはナイロン素材のモデルが主流ですが、「A-2」、「B-3」、「G-1」などの皮素材のモデルや、「B-10」などの布素材のモデルも人気があります。種類が豊富なことから、複数のモデルを持っているコアな愛好家も少なくありません。
実用性とデザイン性を兼ね備えたフライトジャケットは1着持っていると便利なアイテムです。多くの種類の中からお気に入りの1着を探してみて下さい。