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世界の軍服紹介~フランス軍

世界の軍服紹介~フランス軍

世界の軍服紹介~フランス軍

フランスの国旗に使われている青、白、赤のトリコロールは、ナポレオン戦争の時代では軍服にも使用されていました。しかし、フランスの軍服は近代から現代へと至る間に、戦場で目立たない、実戦性を備えたものへと変化していきます。今回は時代の移り変わりとともに変わっていった、フランス軍服について解説します。

実戦性を獲得するまでに時間を要したフランス軍服

第一次世界大戦初期のフランス兵卒の軍服は、赤いケピ帽(円筒形でツバ付きの帽子)、青いコート、赤いパンツというのが基本形でした。しかし、戦場でこの軍服は目立ってしまうため、実用性を欠いているとして兵士たちの不評も買っていたようです。

そのため、第一次世界大戦中期に軍服は淡い青色のコートとパンツに変更され、帽子に代わってヘルメットも用いられるようになります。さらに1929年には将校用にM1929という平常制服が作られ、ようやくカーキ色も採用されました。これはイギリス軍服の影響を受けてのことだと言われています。このように、近代からの脱却に時間がかかったフランス軍ではありますが、軍服のデザインはアメリカ軍や日本軍にも影響を与えました。

現在では、最先端の機能性を重視した制服や個人装備も積極的に採用しており、他国に引けを取らない実戦性も獲得しています。ただ、帽子はヘルメット、ベレー帽などのほかに、今も伝統的なケピ帽も使用されています。

陸軍……伝統的軍服から実践的戦闘服へ変化した軍服

フランス陸軍の将校が着用していたM1929上衣は、襟が折襟、前合わせはボタンで、胸ポケットと腰ポケットが計4つあり、上衣の上からバックル式のベルトを締めるというものでした。しかし、この上衣は第二次世界大戦時のM1939では背広に近いノッチトカラーに変わります。

一方、下士官や兵はダブルのグレートコートを着用していました。将校も兵も下にはワイシャツとネクタイを着込み、平常制服と戦闘用の服の区別はまだありませんでした。米軍にならって、フランスでもフィールドジャケットが作られ、野戦服として使用され始めるのは1940年代半ばのことです。

1947年にはM47フィールドジャケットが登場します。これは開襟式、前合わせは隠しボタン、胸と腰に計4つのフラップポケット、エポーレット付きという、フランスらしさを感じさせるデザインでした。

なお、フランス陸軍には1831年に創設された外人部隊があり、第二次世界大戦後はフランス国内の厭戦ムードもあってこの外人部隊が重用されていました。正規軍以外に外人部隊も着用していたフィールドジャケットは一般にも人気があり、M64、F1、F2といったジャケットは現在の日本でも知られています。これらの軍服の特徴は、ややタイトなシルエットと、胸部に縦スリットポケットが付いていることです。

時代は変わって、現在のフランス陸軍ではF2戦闘服という迷彩服が広く着用されています。この迷彩戦闘服の胸部にもやはり、縦スリットポケットが備えられているのは興味深い点ですね。

海軍……トリコロールを表現する水兵のセーラー服

フランス海軍と言えば、水兵が着用するセーラー服が思い浮かぶのではないでしょうか。このセーラー服のデザインは、第二次世界大戦の頃から現在まであまり大きく変わっていません。

水平のセーラー服の基本スタイルは濃紺のプルオーバーで、白の襟があり、両袖口には階級を表す赤いライン、右二の腕には交差した錨の袖章が付いています。またインナーには青と白のボーダーのシャツを着用し、帽子のてっぺんには赤いボンボンが付いています。

ほかには熱帯用の白い制服もあり、こちらは水兵シャツの襟ぐりが大胆に四角く切り取られているのが特徴的です。胸には錨のマークが付いています。

空軍……今見ても完成されたデザインのスーツスタイル

士官などが着用するフランス空軍の軍服も、基本的にデザインが変わっていません。
濃紺の上下にワイシャツとネクタイを締めるスタイルは、現在のスーツに極めて近いもの。上衣はノッチドラペルの襟と金4つボタン、4ポケット、金の肩章、右胸に空軍のロゴが付いています。帽子は白と紺と金の組み合わせで、空軍のロゴが付いた制帽です。略装や略帽もあり、これらはアメリカ空軍などに影響を与えています。

このように伝統からの脱却を図り、実用性のあるものへ移行しながらも、残すべき伝統は変わらず大事に残し続けているという点が、フランス軍服の魅力でしょう。

豆知識

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